維新號の歴史は、遠く明治32年(1899年)までさかのぼります。
明治20年頃、創業者の鄭余生は20代で、単身寧波(上海より少し南の港町)より来日し、横浜の羅紗専門店で働いていました。
明治32年に外国人の居住地以外の内地雑居が可能になったのを機に、東京・神田地区の神田今川小路に清国(中国)の留学生を相手に簡単な
“郷土料理店”を開いたのが維新號の始まりです。
当時の日本で、中国料理を食べる機会のなかった彼等は、祖国の味を求め維新號に集まり、店は大変賑わっていました。
その中には後の中国で活躍する周恩来や蒋介石・魯迅の姿もありました。
大正中期に至るまでは留学生相手の“故郷飯店”を運営していましたが、
時代の流れと共に留学生の数が激減したのを機に、日本人相手の“中国料理店”に大変身を遂げました。
この頃の維新號の名物料理は何と言っても“フカヒレの姿煮”で、戦争が終わり神田今川小路の店を閉めるまで、
日本の政財官界のお客様や、財閥の出張宴席など、料理店維新號は全盛期を迎えました。